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2003年6月
ギックリ腰とフリーマーケット
学園長 荒井裕司

今年になって2度目のギックリ腰になった。
 修学旅行の長旅をにらんで
「きちんと直したい」と思い友人に電話した。
常々、「ギックリ腰は1回で治してやるぞ」と自信たっぷりに言っていたことを思い出したからだ。電話をすると「今から来いよ。」と言うのでそれにかけてみることにした。

 新宿から約30分。着いてみてその田園風景にびっくりした。
いたるところに畑や緑が残っている。こんなに畑があるならウチの子どもたちに農作業体験をさせたいなとふと思った。
「そういえばステップアップアカデミーの生徒たちの社会参加の道の1つとして農業生産法人にしたらいいかも…。」飲食店を考えたり、農大の醸造学科の友人に相談にのってもらってワイナリーも考えた。またパン屋もいいぞとそのノウハウを教えてくれた友人もいたし、印刷の仕事も紹介された。
別の友人からIT関連の仕事ももらえる約束を取り付けた。
しかしどれも決定打にはならないでいた。

 この4月から社会参加のための仕事を得るという目的でフリーマーケットの主催団体となった。ここでは、宣伝(ポスティングなど)や受付、警備、見回り、区画づくり、後かたづけ、清掃などの仕事が生まれる。何よりもコミュニケーションの苦手な生徒たちが物品を販売することにより人や社会とふれあえる。
この新しい動きに代々木の町会や渋谷区がすぐ賛同してくれて、後援をしてくれることになった。
我々の学園のやっていることは社会的意義が高いといってうごいてくれた区議さんや地域の人たちのお蔭だ。これで都や区の公園などを借りることが 可能になって大きな前進をみることになった。

 先日、そのフリーマーケットの会場さがしのために地方都市の市役所に行った。
空き地と運動用施設と後援は担当部署がそれぞれ違うという。
あちこちと回ったあと、市庁舎から5キロも離れた部署に出向いたら、「本日は担当者がいないのでわかりません」という。
また、公園課という所へ行って主旨を話すと若い職員がすまなそうに「主旨はよくわかります。しかし条例で貸すことができないんです。」という。
「渋谷区や杉並区などは貸してくれるんです。何か借りられるような場所や施設は他にないですか」「使用料を払っていただくと借りられるかもしれません。ちょっと待ってください。」 そういいながら、資料を探している職員と私のところに年配の上司らしき職員がやって来て言った。
「条例で決まっているんですから無理ですよ。どうにもなりませんから」といかにも迷惑そうに言った。
私には、「いいかげんにして早く帰って下さい。」と聞こえた。
先ほどの担当者がいないと言って来た部署といいここは一体どうなっているんだと腹が立ってきた。
「自治体と民間が協力し合って市民のニーズに対応することが大事じゃないのか」「地方分権の時代という流れなのに、その権利は市民のために活かされなければ意味がない」 と思いをぶつけて帰ってきた。

 私のギックリ腰はものの見事に治った。
全身の固くなった筋肉を柔らかくした後、羽交い絞めでエビ反りのように背骨を「グギッ!」と曲げて終わった。その日、研修に来ていた弟子たちの注目を浴びながらの治療だった。
「ウッ〜」という私の大きな悲鳴のような叫び声に全員が笑った。
ベッドにうつ伏せ状態の私は思わず右手を上げてピースをした。
再び大きな笑いが返ってきた。頭上から友人の自信に満ちた声が聞こえてきた。
「明日からゴルフでも旅行でも何してもいいぞ。」

 私のギックリ腰は少しクセになっているようだ。
その都度近くの整形外科に通い電気治療や首をつり上げる治療、それに加えて整体に通っていた。2、3日は静かに寝ていることもあり、治るまで2週間は必要だった。それが、その日1時間で治った。その治療を求めて1日10人もやって来るという。「大したことじゃない。背骨を正常に整えるだけさ」と友人は軽く答える。以前は「1回1時間で腰痛を治すという誇大宣伝をしているらしいな」といろいろなクレームが来たけれど、今は整形外科から紹介されて来る患者が多いという。

 悩み苦しむ人たちのニーズにきちんと応えた結果が様々な規制や枠を越えてしまったということだ。
私達の活動もきっとそういう時がやってくるにちがいない。
早く実現させるために私有地や土・日の工場の駐車場などの紹介や協力を積極的にお願いしたい。
夢や目標に向かう時のあのドキドキ感や楽しみは皆んなで分かち合っていきたいと思う。

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