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2006年4月
夢の続き
学園長 荒井裕司

◆さくら咲く。
 2006年4月20日。この日は、私たちにとって決して忘れられない日となるだろう。
 長い間あたためて植えた苗木が花を咲かせた日だからだ。さくら国際高校入学式。そして三百数十名の各界からのお客様を招いての開校式典。折りしも、北国信州の上田はさくらの花が満開に咲き、春たけなわの様相となっていた。さくら国際高校のある田園地帯の塩田でも桜は咲いていたが、それにも増してタンポポやなずなやスミレが一斉に花をつけていた。田園地帯をとりまくようなまわりの丘陵地帯には明らかにさくらとは違った深いピンクの桃の花や、もっと濃い色鮮やかな「花もも」の花も満開と咲き誇っている。控え目に咲く梅の花も仲間に入って、百花繚乱、まさに春らんまんの季節を迎えていた。
 多数の来賓の方々からの祝辞、励ましの言葉や熱烈な歓迎の言葉に、ただ感動しながら、「こんなことを実現させたのか」と改めて認識することとなった。でもそれは、私たちにとって喜び一辺倒でなく、皆さんの期待に応えなければならない決意の日ともなった。

◆失敗はどんどんすればいい
 2部の講演会では、信州大学の学長が講演。小児科医でもあり、海外経験も長い彼は、数多くのエピソードを話してくれた。子どものころ疑問に思った不思議な体験が、将来の自分の仕事につながったことなど…。私が思わず笑ってしまったのは、出だしのトーク。「子どものころ、田舎だったので、まだ火の見やぐらがあって、火事の時には、半鐘がなり響いたものです。その火事の大きさや近さによっては、大きな音を鳴らす半鐘。私が小学生のある時、けたたましく半鐘が鳴ったので、『私の家は大丈夫だろうか?』と家のある方向を見ると、火の気も煙もなく、ほっとしながら、『それじゃ、学校は?』と思い、学校の方向を確認した。学校の方向にも火の気も煙も見えない。なんだ、学校は燃えていないのかと、そのとたん、なんだ、急にガッカリ。」
 「えっッ」こんな立派な医者で大学の学長も、「学校はあんまり好きじゃなかったのか…。」何とも言えない親しみがわいた。学校を抜け出して、裏山に逃げた自分が認められたようだ。当時は何の娯楽もないため、学校は文化の中心だったといえる。何かにつけて学校にみんなが集まった。でも、どんなに学校が好きといっても、学校が休みの日が一番楽しかった。かなり古ぼけた私の記憶のページをひもといても、そんなとこに行きついた。
 次にスピードスケート500mの世界記録保持者でトリノ五輪では6位入賞の加藤条治選手がスピーチをしてくれた。金メダル候補の筆頭にいた彼が、惨敗したその原因や結果に対する彼の弁をみんなが期待した。あの時のTVの中継を見ていた私。前走者たちが転倒し、リンクの調整のためにかなりの時間を要し、待たされた彼。ウォームアップ済みの体と緊張感は見事に切れていた。そのことは彼の口から一つも出て来なかった。「私も未熟でした。こうした失敗は私のためになる。どんどん失敗をしてそれを乗り越えて、ステキな大人になりたいです。」彼の言葉は、学園の生徒たちにきっと大きな勇気と元気を与えてくれただろう。それにしても実にさわやかな21歳の青年だった。

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