東京国際学園高等部
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2006年6月
外に出ようよ。
学園長 荒井裕司

◆初出場野球部の快挙!
 長野に出張することが多くなった。当たりまえのことだが、長時間電車に乗りつづけると疲れは積み重なる。見える訳ではないから、「ような気がする」といった方がいいかも知れない。ストレスの発散も兼ねて運動することに意を決して、スポーツクラブに入ったが、最近はとんと行く暇さえもない。若いころ、野球だ、サッカーだと走りまわったのが懐かしい。
 そんな私に野球の応援のチャンスがやって来た。出張中に「さくら国際高校」の軟式野球地区予選があった。参加チームは少ないが、歴史と伝統のある大会ではある。自分の学校が試合に出るだけでドキドキする。勝ってその味を知ってもっと前向きになって欲しいと思う反面、負けた時をどう支えようかとも考えてしまう。「エラーをしても、気にしないでいいよ。ドンマイドンマイと言ってやろう」なんせ11人の部員(さくらからの新メンバーの2人を入れて)。考えたらキリがない。「よ〜し、ガンバって行けよ!」応援団としても覚悟は決まった。
 第一回戦、上田千曲(ちくま)高校。試合が開始となる。私の心配は杞憂だった。ピッチャーはすばらしい球を投げ、キャッチャーはセンス抜群で、大きな声を出してチームをまとめる。各ポジションもボールにくらいつく。フライは落とさない。バッティングもなかなか。「いいチームじゃないか!」塁に出るとすかさず盗塁。あれよあれよという間に5回のコールドゲームとなってしまった。12対2。第2戦は、別なピッチャーが投げ、これも快投。当たり損ねのライトフライが適時打となって入った2点のみ。やはり5回コールド15対2の勝利となった。
 結局この地区大会に優勝し、全県大会でもコールド勝ちで優勝した。帰り際、決勝相手の先生から「全国大会、行けますよ!」と言われ、ほほがゆるんだ。

◆圧勝、サッカー部
 次の週、サッカー部の試合だという。顧問の先生から「応援団はだれもいないようです。」と聞いた。「初出場のチームに応援団がいないのは淋しいだろうナ」と思ったら、いてもたってもいられなくなった。幸いその日予定されていた会議の始まる時刻はPM3時、小諸での試合をみて新幹線にとび乗れば、全く問題ないことがわかった。
 当日、軽井沢からローカル線に乗って小諸へ。田植えの終わった田んぼや野菜の植った沿線の風景を見ながら、心はサッカー場にとんでいた。
 着くと試合はもう始まっていて、遠くから見てもその動きが手にとるように見える。立ち止まって様子を見る。どうみても、我が校の動きがいい。ベンチに着くと顧問から、まだ0対0ですと聞く。「ヨ〜シ!イケイケ!!」思わず声を出したら、「ゴ〜ル」が決まった。ボールの運びやチームプレイなどを見ている他校生から、「うまい!」「すげぇ!」などの声が聞こえ、その度にゴールが決まった。10対0で圧勝。レフリーの先生がやって来て、直接指導までしてくれる。全国大会に向けての期待をこめたサービスなのだろうか。
 そして、学園の熱きイレブンは全国大会、静岡の日本平サッカー場(エスパルスの本拠地。普通はめったにプレイできない、国立競技場並みのサッカー場)で試合をやることになった。

◆薬物依存症
 現在、継続中の私の家庭訪問先は30家庭を超える。小学生の子どもから42歳の中年のおじさんまで幅は広い。ほとんどが、セミナーでの相談や、拙書を読んでメールや手紙で依頼をしてくる。その状況は多様だが、特に心配なのは薬物中毒の子どもたちだ。繁華街でつかまって中毒になるのとは違う。子どもたちはひきこもる毎日の中で苦しみ、葛藤し、そのストレス発散のためにゲームをしたり、マンガを読んだり書いたり、自傷行為(リストカット)をしたりする。閉めきった部屋で自分の趣味に興じる子どもたちだが、落とし穴もある。プラモデルやクラフト、ジグソーパズルなどで使用する接着剤は、多量のシンナーを含んでいたりする。化学成分については詳しくはないが、使う側の健康面への配慮はあるものと信じていた。しかし継続的に使用した子どもの何人かはすでに中毒症状になっていた。接着剤を吸うことで安らぎを覚えたり癒される気分になっていく。いつの間にか、ペットボトルに溶かして吸引したり、殺虫剤を吸ったり、あげくの果ては、灯油の臭いを吸ったりするようになる。薬物依存症は入院させて隔離して治療にあたることになるのだが、完治はなかなか難しいようだ。それなら、早期に発見し対応するしかない。全ての病気に共通した最良の治療方法だ。そんな子どもと出逢う時、私はとても悲しい。目の前で震え出し、暴れ狂う様子は、言葉もかけられないからだ。

◆スポーツはいいぞ。
 前述のサッカー部や野球部ばかりではなく陸上部やダンス部、更には演劇部なども大活躍の昨今だ。陸上部も全国大会に出場するし、各地のホールでの発表を続けるダンス部、通信制の高校としては異例の大きな賞をもらった演劇部。またマンガ・アニメや声優部門でも着々と活動の域を広げつつある。子どもたちのマグマのようなエネルギーは一気に可能性を押し広げている。
 体育合宿中の菅平。いかにも運動は苦手というタイプの生徒がやって来た。「先生、スポーツをやっている人ってカッコイイですネ。」「私はスポーツが苦手と思いこんで来たけど、体を動かすことがこんなに気持ちのいいこととは思いませんでした。」とうれしそうに言う。そういえば、体育合宿の行事に参加する子どもたちは、普段学校に来ていない子どもも多い。こんなに元気そうな顔や笑顔はあまり見せたことがないのかも。保護者の皆さんにも見せてあげたい。梅雨の合間の菅平。真夏のような太陽がギラギラ、入道雲はムクムク。みんな閉じこもってなんかいないで、外に出て来なよ。新緑もいいし、風もさわやか、気持ちがいいぞ。

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