◆台湾から学ぶこと。 今年の修学旅行が終わった。生徒たちには忘れることができない旅行になったことと思う。観光はもちろんだが学校交流やホームステイで得た体験は心が震えるほどのものだったにちがいない。潮洲高校での熱狂の渦(うず)。南栄中学校で行われた姉妹校の締結の儀式。両国国家の演奏に東京国際学園の校歌の演奏。自分たちの校歌を唱ってくれる台湾の生徒たちにただ脱帽と感謝。このあたりからジンジンと伝わる感動の波。両校の特別活動の紹介。日本の空手道の演武、更に太鼓、そして全員参加しての“東京音頭”の盆踊り。台湾の生徒たちがなだれ込み、グランド一杯に生徒があふれて最高の盛り上がりとなる。「憧れの国からの憧れの生徒たち」に台湾の子どもだちは精一杯のもてなしをしてくれた。仲良くなるにつれて、写真を一緒にとる、サインをせがむ、握手を求められ、それが叶うと大歓声が起きる。日本の子どもたちが、ジャニーズのスターになった瞬間だ。子どもたちは今までこれだけ大勢の人たちから熱狂的に歓迎されたことは無いだろう。自分たちの存在がこんな大きなエネルギーを起こすことを経験したことは無かっただろう。三信高校でも同様だったが、ここでは各クラスに仲間入りして一緒にゲームをしたり歌をうたったり、笑い声と歓声が絶え間なく続いていた。保護者の皆さんの想像をはるかに越えたモテモテぶりだったといえる。交流会のあと、ホテルの夕食時に三信高校の校長が参加してくれた。校長は私に向って「なぜ台湾の人たちはこんなに日本人が好きなのか御存知ですか?」と聞いてきた。「韓国や中国に対しては併合や侵略という形をとった日本だが、台湾には日本以上の国をつくろうとあらゆる面での支援を惜しまなかったことによると思います。」「その通りです。政治、経済、教育、農業、工業、鉄道や道路の施設まですべてにわたって日本が支援をしてくれました。日本文化のすばらしさも伝えました。日本人の勤勉さ、誠実さ、真面目さ、心の豊かさは、その後やって来た中国人とは雲泥の差でした。また以前に支配をうけたオランダ人とも大きな差がありました。今の台湾の基礎を作ってくれたのは日本人なのです。今でも台湾人は変わらない思いなのです。」と一気に話してくれた。今の台湾は国家と認められてはいない。世界の政治の中では微妙な立場に立たされている。その思いはここで育つ高校生の心の中にも“不安定さ”として残っているのだろう。台湾を知ることは、アメリカを知り日本を知り中国を知り、そして世界を知ることになる。あの熱烈なフィーバーを体感して、後ろ髪引かれる思いで帰国した生徒たちに、もう一度“台湾を学ぶこと”を提案したい。
◆ドリアンとマンゴー 修学旅行三日目の夕方。高雄のホテルの玄関わきのコンクリートに、生徒たちがドリアンを頭上から落として割ろうとしているところに出くわした。「何をしているの?」と尋ねると「今日、スーパーで安売りのドリアンを買った。どんな味なのか、食べようとしている」とのこと。「それは理解できるが、一流ホテルの玄関先では人に迷惑がかかる」と伝えツアーガイドに相談。ホテルの配慮で調理室に運ばれたが、すぐボーイが持ち帰った。「このドリアンは一週間後にならないと割れないし、食べることもできません。」「これは困った、せっかく生徒たちが食べてみたいとトライした好奇心は叶わないのか。」彼らのことを考えるとかわいそうだが、日本に持って帰ることもできない。現地の人に引き取ってもらうことになった。別の生徒たちからは「先生、マンゴーが食べたい。」という訴えが届いた。もちろん修学旅行のメニューの中にマンゴーは入っていない。ホームステイ先で食べた味が忘れられないし、食べられなかった仲間にも食べさせてやりたい」というものだ。私もマンゴーが大好きだが、それも実現しなかった。生徒たちが帰国した数日後、私はデパートでドライフルーツのドリアンとマンゴーを見つけた。「これで我慢してもらおう。」私はそれらの袋をまとめて買い込んだ。
◆拝啓 東国原知事 マンゴーについてはこんなこともあった。この春、宮崎に行く機会があった。泊まったホテルに完熟マンゴーが売っていた。「なるほどこれか」そう思ってのぞくと、高い高い!1つ5000円〜6000円もする。とても手が出ないと思った。ところが横に小ぶりで色あいもよくない3000円のマンゴーがあった。買うか買うまいか悩んだあげく結局買わずに終った(なんて勇気がないんだろう!)その翌日、みやげもの店で、マンゴーのドライフルーツを見つけた。「これがいいや」と買ってはみたが、「宮崎限定」「完熟マンゴー」と大見出しの文字に違和感。店員に尋ねる。「これは宮崎産のマンゴーですか?」店員はウンウンとうなづく。「でも、宮崎産ってどこにも書いてないんだけど…。」店員は手にとってみて、「あとで聞いておきます」とのこと。どう考えても完熟マンゴーのドライフルーツが500円で買えるはずがない。現在の宮崎ブームに便乗した悪徳商法のようだ。帰京後、私はこの袋の写真を入れて、宮崎県庁のあの東国原知事に手紙を書いた。今、日本中の注目を集め、清新な風を送る宮崎県知事。そんな知事のためにも県民のためにもきちんとした対応が必要なのではないか。更に宮崎県を応援しようとする一般消費者までをだますことは許されない。拝啓 東国原知事。どんな返事が返ってくるのだろうか?
◆子どもたちの心をどう育てるか。 会津若松の高3生の事件が、台湾でも大きく報道された。またしても日本国民の心を大きく震撼させる事件が起った。修学旅行の班分けが一つの原因と報道されるが、本当のところはもっともっと根深いだろう。子どもたちの心をどう育てるか、子どもたちの心をどう支えるか、私達につきつけられた課題は大きい。悲しくて放り出したくなるような現実だが、学校と保護者とすべての国民が力を合わせて新たな子どもたち支援の方策をさぐり出すしかない。慌てることはなく、あきらめることもなく、焦ることもない。教育の本質は信頼し合い理解し合うことに尽きる。私達は私達の実践を信じて続けていきたい。それにしてもコンピューターの弊害の大きいこと。心配の種は大きくなるばかりだ。
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